座談会 : 2010年、秋田と東京の文化事情について(2)

――現場と、ユーストリーム

浮舌大輔×高木瑠衣×松渕得雅×富樫勲

 

富樫 20TN!(ニジュッテン)というチーム名は、100点が満点だとしたら、投げ出して0点とかじゃなくて、すっごく頑張って20点とる、といった意味なんですよね。

浮舌 そう。だから逆に言えば、0点とるほどかっこ良くもないっていう。0点とるって、わりとかっこいいっていうか、パンクな感じじゃないですか。かといって0点とれない、20点くらいとっちゃうみたいな、ちょっと中途半端な意味なんですよね。

高木 でも、このまえのライヴはすごいかっこ良かったですよ、ホントに。

富樫 秋田のミュージシャンの方も集まってましたけど、ライヴ観て「開放された」とか、「やっていいんだ」みたいな感想がありましたね。そんな20TN!が、渋谷・幡ヶ谷にFORESTLIMITというスペースを3月20日にオープンされましたけど、FORESTLIMITのことを少し教えていただけますか?

DSCF2688浮舌 おぉ。いや、まだ出来たばっかで、もうオープンの前日まで作業してるような感じで、全然何も決めてないところがあるってのが正直なとこですね。週末は、展示なりイベントなりをどんどん入れていこうかって話をしていて。20日のオープニング・イベントはわりとクラブ寄りな人たちが出ていたので、ちょっとクラブっていう認識が付いた感があるんですが、あんまりクラブという感じでやっていくつもりはなくて。交流的なトーク・イベントだったり、上映会だったりとかを入れていこうかなって。幡ヶ谷の駅を出てから30秒くらいの場所なので、それもメリットかなと。

高木 すごくいいスペースでしたよね。クラブって普段行かない人にとってはわりと閉鎖的で、ちょっと狭い、暗いってイメージが一般的にあるかとも思うんですけど、そういう観点からみてもFORESTLIMITはものすごく突き抜けた感があって。

浮舌 誰かの家みたいな感じだよね。

高木 そうですよね。ちょっと開放された家というか。

松渕 どのくらい広いんですか?

浮舌 どれくらいだっけなぁ。でも、80人くらいは入りますね。100人で満員電車みたいな感じですかね。

松渕 マンションとかではなくて、店舗とかそういう感じの空間?

浮舌 商業ビルの地下。だだっ広い空間、コンクリート打ちっぱなしっていう。

富樫 MAGIC ROOM??などのこれまで活動の場としてきたスペースが次々と無くなっていくなか、場を持つことの重要性なんかを考えていた?

浮舌 09年って、スペースだったり、雑誌とかいろいろなものが無くなっていって。逆に、こういうときに始めるのが面白いんじゃないかなとは思ってましたね。大変だなぁってのもあるんですけど、始めてみないとわからないから。一番のこだわりポイントは音ですかね。「現場」に来なくちゃわからない。スピーカーなどシステム的にはかなりこだわってやってるんで、その辺は活かしていければなって。20TN!の2人(ドラムの人、浮舌)と、手裏剣って雑誌を作ってる2人、その4人でやってるんです。ナパーム片岡くんが代表。彼はものすごく音響にこだわる人なんですよ。音は大きくても、ちゃんと会話ができるような形になってます。

富樫 浮舌さんは、NADiff a/p/a/r/tで本(限定BOXセット『since2031』)を毎月出したり、リアルタイムでその場の音を録音してレコード・カッティング、ジャケ作って即リリース、とかしていますよね。アナログ感みたいなものにこだわりがあるんですか?

20TN! + ゾルゲルプロ浮舌 こだわりは別にないんだけど、それが一番やりやすいし、早いっていう。スピーディにやるならアナログというか、手で作るのが一番早いかな。かといって、コンピューターとかを否定するわけではないんですけど、ただ僕らが一番やりやすいのは、本を作ったりとか場所を作ったりとかで。現場感?っていうんですかね。ユーストリームもやってるんですけど、まぁ誰も見てないみたいな(苦笑)。それはもう宇川(直宏)さんはじめDOMMUNEにお任せして、僕らは別の方向でやりたい。来ていただける限りは満足いくものを提供したいと思ってます。まぁでも、ユーストリームはユーストリームで面白いと思うし。

高木 なんか全然別物な感じがしていて。秋田でのイベントでちょっとユーストリーム中継して感じたのは、行ってみなきゃわからないってのは大前提。でも、それは当たり前で、ユーストリームは新しいアーカイヴであり広告であり、「これからやっていきますよ」っていうような表明的なことでもあるかなっていう風にとらえていて。……その場に行かなきゃわからないってのは大前提じゃないかな。認識の上でみんながそう思っているとしてやってるように感じますね。

浮舌 この前DOMMUNEにDJ NOBUさんが出たときにターンテーブルが壊れちゃって大騒ぎしてたけど、リキッドルームが協力してくれてタンテを持ってきてくれたとか、現場で起こってることがものすごく楽しい。あれも、ユーストリームを通して、「あ、現場が楽しそうだな」っていうのあるよね。

高木 そうそう。20TN!のライヴを観ても感じたんだけど、たとえば評論とかそういうものを読んでも絶対わからないというか、行ってみて、瞬間瞬間で、ありえないくらい完璧な瞬間が何回か立ち上がってたんですよ。それを観て、「すごいな、この人たち」って。本人たちにとってはあれが完璧じゃなくても、その完璧さを想像できるというか希望をもつというか。この人たちの今後の活動をずっと見続けたいなと感じて。で、FORESTLIMITがオープンするという話を聞いて、ものすごく希望に思えた。その場その場の1コはプロセスであり、何かに向かっていくすべての流れが面白くてしょうがないというか。なんか、いまデジタル世代とか言われて、耳が悪いとかよく言われるけど、逆じゃないかなって。データとかでも音楽は聴くけど、求めているものは生の音だったり、いい音をすごく探してたりする。その両極端にあるものをちゃんと認識して聴いてるんじゃないかな。1つのチョイスでしかないというか。

(3月22日、渋谷・20202でのトーク・ショーを再構成)

 

座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(1) ――600km先の出来事
座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(3) ――人的ネットワークの重要性
座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(4) ――きょうから明日まで

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