座談会 : 2010年、秋田と東京の文化事情について(4)

――きょうから明日まで

浮舌大輔×高木瑠衣×松渕得雅×富樫勲
特別参加:ナパーム片岡

 

富樫  1パフォーマー側の立場として伺いたいのですが、この前、浮舌さんたち20TN!に秋田でライヴしてもらいましたが、機材、結構な量じゃないですか。

浮舌 結構な量でしたね。普通より多い。

富樫 キャリーカートを使って都内で電車を乗り継いで行ってライヴするっていうのと、車に積み込んで12時間かけて秋田でライヴするっていうのだと、どっちが精神的負荷がありますか?

浮舌 車で、東北とかほかのとこに行くほうが楽ですよ。キャリー使って電車で運ぶと、下手したら往復するくらいの量なので。それなら、遠くても車使って行くってほうが楽っすね。

富樫 おぉ、ちょっと意外です。

高木 東京から秋田まで、車だと飛ばしても8時間とかですからね。

浮舌 東北道は飛ばして、秋田道は1車線だからゆっくり行くっていう。人によるとは思うんですけど、基本的に長い時間車を運転してても大丈夫なタイプなんで、秋田行きはまったく問題なかったですね。

富樫 『ゼロダテ』に参加する方も、秋田までの移動手段は車が多いですか?

《ゼロダテ美術展》2009/「彼岸 此岸」/松渕得雅パフォーマンス松渕 車がけっこう多いですね。ただ時期が夏なので、雪とかの心配なく来てますけどね。

富樫 秋田に行くなら車、ってことですかね。

一同 車ですねー。

松渕 それも、やっぱり高速1千円っていうのが大きいと思いますけどね。あと、何人かでシェアしたらものすごく安いじゃないですか。準備に、1回だけじゃなくて、何回も来る方もいらっしゃたりするので。

高木 気になったのは、アーティストが滞在するところっていうのはあるんですか?

松渕 ZAC(ゼロダテ アートセンター)っていうところに泊まれますね。あとはもう誰かの家とか。田舎に行くと、誰も住んでなさそうな家ってあるじゃないですか。家が大きくて、部屋も余ってるとか。交渉次第ですけど、いくらでも泊まれるところはあって。

高木 なんかこの前、秋田でのイベントのとき、20TN!をはじめ総勢7名が来てくださったんですね。今回やってみての反省点は、アーティストたちの宿泊の面のケアが全然足らなかったなというか……。

浮舌 いや、それは完全にこっちがオーバーして。はじめは、templeATSの志人くんと戸田(真樹)と僕で、3人って話だったんだけど、結局うちらが着ぐるみ班と撮影班とって増えて。

高木 でも、そういうの関係なしに、あれだけ来てくれたのはすごく嬉しかったので、そういう面をきっちりケアしたかったなってのは一番の反省点です。

浮舌 大満足して帰りましたよ(笑)。

高木 ホントですか? それを聞けてよかったです!(笑)。

富樫 秋田市でも、夜中の12時過ぎると入れる店がなかったりするんですよね。

高木 お店ではなくても、そういった宿泊スペースを確保したいと思っていて。最近いろんな方面の人たちが秋田に来たいといってくれていて、一番の問題は宿泊の場所というか。何日も滞在したいという人に対しての宿泊場所っていうのが、もう少しなんとかならないのかなって感じていますね。

松渕 田舎って、家とかいっぱい余ってるじゃないですか。一軒家とか借りてもそんなに高くはないですよね。一軒家を借りて、アート・スペースにしたり、宿泊場所にするってのはありかなぁという風に感じますね。『ゼロダテ』は、冒頭にも言いましたけれど、商店街のなかでアーティスト・イン・レジデンスをするという企画を考えていて。商店街のお店は、1階が店舗で、2階が住居っていうパターンが多いんですけど、実際、店舗の営業はしているけど住居スペースは空いてるということがあるんですね。そこを自分たちで改修して、最低限泊まれるように作ろうかっていう話になっていて。やっぱり会期中になると遠方から来る人も多いので、泊まる場所の確保という意味でも、滞在制作する場所の確保という意味でも、その大切さは一緒ですね。

浮舌 ……あ、FORESTLIMITのオーナーのナパーム片岡が到着したみたいなので、ちょっと挨拶だけ。ナパームさん、ちょっとこっちに来て。

松渕 あ、すみません。ちょっとこれから3331の方でシンポジウムの準備があるのでここで失礼します。ここにチラシを置いておきますので、ご興味ある方はぜひ。お待ちしております。ではー。

一同 (拍手)

富樫 ではあらためて、渋谷・幡ヶ谷にオープンしたFORESTLIMITについて、ナパーム片岡さんに伺いたいと思います。

ナパーム片岡片岡 FORESTLIMITのスペースは、元々はレンタルボックスのような場所だったんですよね。そこにスピーカーシステムや映像システムとかをバカバカ入れて、まぁ楽しくやり始めたとこです。基本的に、うちに入ってるシステムってのは、映画館のスピーカーとかアンプを置いてまして。

浮舌 とりあえず、クラブではないって話ですよね。オープニングはクラブっぽかったけど、クラブではないという。

片岡 基本的なテーマは「イマジネーションを形に」ということで、僕とか浮舌とかが中心になって、妄想を膨らませて、どんどん形にしていくっていうことなんですけども、普通のハコとかが持ちえない部分がどこにあるかっていうと機動力と適応力だと思っています。そのためのスペックは、ジャンルだとか1つ体系に押し込められるんじゃなくて、何でもかんでも対応できるように整えているので、あとはどこまで臨機応変にいけるのかっていうのがキモなんですけども。

富樫 FORESTLIMITEを運営している4人は、全員80年代生まれですよね。

片岡 そうですね。やっぱり90年代のカルチャーを吸収してきたわけなんですけども、あの時代ってすごくスペースの面でもオルタナティヴっていうのが開花していった時代だと思うんです。変なスペースっていうかカテゴライズできないような部分がバンバン出ていたと思うんですね。それが、00年代に入って淘汰されたというか……。

浮舌 どうなんでしょうね、スタジオボイス廃刊であったりとか、UNIVERSAL MARGINALとかMAGIC ROOM??もそうですけど、20TN!はおくりびと的な役目をずっとしていて。なんかね、今度こそはスタートに関わったほうがいいんじゃないかっていう、ちょうどいいタイミングではありましたね。

富樫 あまり疑問にさえ思わなかったかもしれませんが、あえて東京でっていう意識はありましたか?

浮舌 いまこの会は秋田と東京のイベントですけど、僕個人的には、地方に、柏にもislandとかができて、いろいろ周りに移っていくタイミングだと思ったんですよね、09年とか。

富樫 中央から離れるという。

浮舌 そうそう。そこで、むしろ東京でやるのが面白いんじゃないかなって。いまあんまり東京が面白がられてないし、ブルータスも特集でアンチTOKYO?みたいにやってたりとか。だから、ね、僕らが東京を盛り上げなきゃって(笑)。

片岡 東京にいるのは、結局8割くらいは田舎出身の方なんですよね。東京が云々というのはフェーズとしてはなかったんですけれども、あるとしたら、東京の中の中央線カルチャーとかそういうのは大きくありました。そもそもFORESTLIMITは中央線沿いに作りたいなっていう個人的な意向もあったんですが、それはまぁいろいろ話し合いの結果……。

富樫 京王線沿いに……。

片岡 (苦笑)しかも幡ヶ谷っていうウルトラ・ローカルな場所に。東京では都市開発的にも遅れたというか、再開発からはずれた場所で、ある種の都会のなかの田舎みたいな部分もありますよね。

浮舌 森林限界=FORESTLIMITってのは、そこにつながってくるんですよね。

片岡 20TN!の活動とかを見ていただければわかると思うんですけども、たとえば『空中GO』のアジテーション(※注)にもありましたが、言語化できないものとかモヤモヤしているものをどういう形に落とし込んでいくかというところで非常に迷いがありつつ、でもやっちゃうっていう。

浮舌 そもそもアートで食っていこうという、本来言われている誠実ってところで食っていこうとは思わない。自分たちの感覚100%のモノを創ったときに、それが売れたりとかお金になったりするはずがないと思っていて。お金儲けとかそういう部分のモノは、自分の感覚だけに特化したアートという部分ではなくて、もっとデザイン面だったりとかそういう方でやったらいいんじゃないかと僕は思っています。で、自分たちの感覚を100%出すっていう展覧会をやりたいと思って、『空中GO』をやったんですけど、あれはほかの人から見れば本当に無駄なもの。だけど僕らはなんかビッとくるというか。FORESTLIMITでもそこらへんのジレンマはもちろん抱えているんですよね。全部自分たちがやりたいイベントだけでやろうとかにしちゃうと、回っていかないじゃないですか。ただ、都内のライブハウスとかもそうですけど、あぁいう風になっていっちゃうともう何でもあり過ぎちゃって、ハコ的にもノルマを果たしてくれればいいってなっちゃうと面白くないので、ある程度つないでいけるようなものができればいいんじゃないかなと思っていますね。あれ、どうしちゃったの?(笑)。帽子かぶっちゃって。

富樫 (笑)あ、いや、そろそろ時間ですね。場所、変えましょうか。

 

※注)20TN!『空中GO』について(言い訳)
空中GO簡単に言えば”宇宙一無意味で愉快なモノ”というかそうでしかない。それはやはり作ってみたい。なぜならきっとそこには作り手の最も気味の悪い感覚がまとわり付いているはずであるから。それを見たい。今回ばかりは金などどうでもよい。ただ上からも下からも眺めたい。しかし、それは一見最も無意味なモノなのかもしれません、というかほとんどの人にとっては必ずや無意味でしょう。ですが、その感覚をなんとか具現化?しようと20TN!四人このままではビョウキになってしまう!というくらいハイな思考で奮闘中。(きっとモノにさえなればおもしろいはずなのだ!!!? ですが、なにせ感覚というものはいつだってモヤモヤなもので”コレ”や”アレ”が本当に具現化できるのかはわかりません。”ソレラ”を前に我々はとっても無力なのです。できないのかもしれません。。。努力はします。ただやはりモヤモヤですから。あしからず

(3月22日、渋谷・20202でのトーク・ショーを再構成)

 

座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(1) ――600km先の出来事
座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(2) ――現場と、ユーストリーム
座談会:2010年、秋田と東京の文化事情について(3) ――人的ネットワークの重要性

東京×秋田地域文化交流イベント『北風と太陽』 vol.1/写真リポート
東京×秋田地域文化交流イベント『北風と太陽』 vol.2/写真リポート

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